精神科入院患者の口腔内環境および抗精神病薬副作用 : 精神疾患を有する患者の歯科治療を安全に行うために

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  • ハクジカイ ユウシュウ リンショウ レポートショウ セイシンカ ニュウイン カンジャ ノ コウコウ ナイ カンキョウ オヨビ コウセイシンビョウヤク フクサヨウ : セイシン シッカン オ ユウスル カンジャ ノ シカ チリョウ オ アンゼン ニ オコナウ タメニ

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抄録

歯科疾患はさまざまなメカニズムを介して身体疾患を誘発するリスクがあり.その管理は重篤な全身疾患の予防につながる.しかし精神疾患を持つ患者は疎通不良,妄想などによる対応困難であるだけでなく,服用している薬剤により歯科治療中の偶発症のリスクが高まるなど,多くの問題があり歯科治療に難渋することが多い, 今回われわれは精神疾患患者の歯科治療を安全に行うために,精神科病院における歯科診療でのデータを解析することにした.O精神科病院歯科室に来院した精神科入院患者を対象として,口腔内の状況(DMFT指数),主訴,服用薬を調査した.さらに抗精神病薬が影響することが知られているQTc間隔,および血中プロラクチン濃度を検討した. 精神科人院患者の特徴として40代から70代におけるDMFT指数が高い値を示すこと,さらに受診理由として定期検診を挙げた患者が極端に少ないことが示唆された.また,多くの患者が抗精神病薬を服用しているが,QTcが460ms以上であった患者は見られなかった.さらに,抗精神病薬の中でも特に,チアプリドを服用している患者の多くが,プロラクチン血中濃度が高くなる傾向が見られた. 歯科領域における未病の概念は重要であるにもかかわらず,全身疾患との関連での実践がまだ伴っていない.今後もデータを蓄積し解析していくことで,精神疾患を持つ患者の歯科治療を安全に行う方法を考え,さらには精神疾患を持つ患者の口腔内環境の改善を通して全身疾患の予防が行えるか検討を行う予定である.

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