不定期刑廃止論 : 仮釈放の視点から

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  • Abolishing Indeterminate Sentence : From the light of Parole

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説明

少年に対する不定期刑では、①いつから仮釈放を認め、②いつ刑の執行終了により仮釈放を終了するかという点が最も本質的且つ重要である。旧少年法以来、不定期刑の仮釈放法定期間は短期の三分の一とされており、これは最低限の施設内処遇を確保するという目的に加え、当時、不定期刑の短期説が有力であったことが背景にあるが、にもかかわらず法定期間の応報説を採ることは矛盾である。しかも長期説が有力となった今日では尚更説明が難しく、予防説では、結局、定期刑としたうえで少年に特別な法定期間を定めることでも足りる。刑の執行終了については、仮釈放までの期間と同一の期間経過による場合は、短期の二分の一までに仮釈放が行われた場合でなければ、短期経過後の裁量的な刑の執行終了に拠ればよいので意味がない。また、短期経過後の刑の執行終了が、短期以前に仮釈放を認めることとした我が国の不定期刑においては最も意味があるとしても、定期刑の下で刑の執行終了要件を法定することでもよい。さらに刑の執行終了より、仮釈放後の保護観察の仮解除という制度の方が望ましい。以上のことから、少年法上の不定期刑は廃止し、定期刑を採用すべきである。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 125 (11-12), 1-33, 2019-03-15

    法学新報編集委員会

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