有痛性骨転移に対する緩和的放射線療法

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タイトル別名
  • Palliative Radiotherapy of Painful Bone Metastases

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抄録

type:総説

がん患者は,全経過をとおして原発巣や転移巣などによる様々な疼痛を経験するといわれており,がん性疼痛の中でも最も多いのが骨転移に起因するものである.がん性疼痛の緩和ケアでは,モルヒネに代表される麻薬性鎮痛薬の投与が広く知られているが,骨転移による疼痛は骨膜や骨髄に分布する侵害受容器を介する痛みであり,薬物療法のみでコントロールすることは容易ではない.有痛性骨転移のような侵害受容性疼痛に対する放射線照射は,痛みを軽減するだけでなく,痛みの原因である腫瘍に直接働きかけて腫瘍の縮小などの副次的効果により,薬物療法など他の緩和治療の効果を高めることも期待できる.有痛性骨転移に対する緩和的放射線照射の有用性は,放射線腫瘍医の中では広く知られたことであるが,一般の医師や看護師にまでは深く浸透していないのが現状である.中には緩和ケアに携わる医療スタッフでも緩和的放射線照射について十分に理解されていないこともあり,本治療の選択肢さえ与えられずに痛みに苦しみQOL が著しく阻害されている患者も少なくない.そこで本稿では,国内外の知見を整理しながら,有痛性骨転移に対する緩和的放射療法について紹介する.

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