日本大衆文化開放後の韓国の高等学校の日本語教育 : 教育課程と教科書の分析から

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タイトル別名
  • ニホン タイシュウ ブンカ カイホウ ゴ ノ カンコク ノ コウトウ ガッコウ ノ ニホンゴ キョウイク : キョウイク カテイ ト キョウカショ ノ ブンセキ カラ
  • Japanese language education at high school in Korea after lifting of the ban on Japanese popular culture : analyzing curriculums and textbooks

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説明

本稿では、2000年以降に発行された韓国の高等学校の日本語の教育課程と教科書において、日本語教育の必要性について書かれた部分と日本文化について書かれた部分を対象として批判的談話分析を行い、日本大衆文化開放後の韓国における日本語教育の変化を明らかにした。分析の結果、日本語教育の必要性は、2000年以前と同様に韓日交流を根拠として正当化され、韓日交流は活発化させるべきものと考えられるようになったことが分かった。教育課程において日本語は、韓日交流のための言語と位置づけられており、それを反映して全ての教科書は日本人と韓国人の交流場面を中心として編纂されていた。また、日本のポップカルチャーを素材として取り入れる方針が教育課程で示され、日本の漫画、アニメを中心としてその優秀さを記述する教科書も出現した。日本のポップカルチャーは、かつてのように危険視されるのではなく、教育上素材として価値があるものとして日本語教育に積極的に取り入れられるようになったと言える。一方、教科書で最も頻繁に取り上げられていたのは、コミュニケーション行動の特徴や、衣食住、年中行事、観光地などであり、特にコミュニケーション行動については、日本人にとって好ましいやり方に合わせることが強く推奨されていた。また、1980年代までのように日本の侵略や韓国文化の優秀性を記述する教科書はほとんどなく、日本文化は全般的に価値中立的あるいは肯定的に記述されるようになっていた。日本大衆文化開放後の日本語教育は、歴史的な韓日関係とは一線を画し、韓国人が日本人のコミュニケーション・スタイルに合わせる韓日交流を志向するようになったと言うことができる。このように、日本のポップカルチャーの受容と並行して、韓国の日本語教育において日本文化、および韓日市民間の交流に対する考え方や態度が変化していると考えることができる。

identifier:J-GLOBAL ID : 200901017551876975

identifier:科研費研究者番号 : 60386927

identifier:21K00606

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