X線非弾性散乱による流体ダイナミクスの研究

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タイトル別名
  • Atomic dynamics in fluids studied by inelastic x-ray scattering
  • Xセン ヒダンセイ サンラン ニ ヨル リュウタイ ダイナミクス ノ ケンキュウ

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抄録

1990年代半ばにmeVオーダーのエネルギー分解能を達成したX線非弾性散乱実験技術により,高温高圧下の極端条件下にある超臨界流体の原子,分子ダイナミクス研究は大きく進展した。本稿では,著者らが独自の高温高圧実験技術を用いてSPring-8のBL35XUビームラインで行った,高温高圧下で膨張した流体水銀のX線非弾性散乱実験を中心に,液体,流体の原子ダイナミクスの理論的背景と,超臨界流体特有のダイナミクスについて紹介する。中でも,流体水銀の金属-非金属転移近傍で観察された,音響モードのエネルギーが超音波を用いて観測された音速よりも3倍大きい分散を示す速い音波の解明は,原子が凝集して金属が形成される素過程を理解する上で重要な現象と考えられる。本稿の結びでは,この分野の近い将来についても展望する。

収録刊行物

  • 放射光

    放射光 23 (4), 219-229, 2010-07-31

    日本放射光学会

参考文献 (35)*注記

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