連載 女性の権利(Woman’s Right)運動にナイチンゲールが果たした役割とわが国における女性の権利運動の展開

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タイトル別名
  • 女性の権利(Woman's Right)運動にナイチンゲールが果たした役割とわが国における女性の権利運動の展開
  • ジョセイ ノ ケンリ(Woman's Right)ウンドウ ニ ナイチンゲール ガ ハタシタ ヤクワリ ト ワガクニ ニ オケル ジョセイ ノ ケンリ ウンドウ ノ テンカイ

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本論では,ナイチンゲールが体験したヨーロッパにおける女性の権利運動の展開と,儒教主義国家であったわが国における女性問題と女性の権利運動の展開について今一度,歴史的に検証し,女性の社会的位置づけについて再検討した。まず,最初にイギリスにおける女性の権利運動でナイチンゲールが果たした役割は,看護職を草創するという取り組みにおいて,その着想が,看護婦以外の他の職業にも浸透したことであり,本人が好むと好まざるに関わりなく,実践的女性解放主義者としての地位はゆるぎない。  次に,わが国は“三従の教え”に代表されるように,歴史的に女性の社会的評価が著しく低かった。明治維新以降,男女平等思想は取り入れられたが,それはわずかに啓蒙主義的な思想家からの提唱であり,定着しにくい現実があった。大正時代に起きた“新しい女”旋風はいわゆる女権拡張運動であったが,それは危険思想であるとして法的にも制限が加わった。女性から発言権を奪い,女性の教育を低いものにして人格をはく奪する施策において,国民の権利と義務,あるいは自由と公共の福祉といった法的な概念と道徳的な問題は,女性に自由・平等・福祉などの基本的人権が与えられた今日でも見られる現象であり,自己実現を目指す女性の職業継続の問題として残されている。

収録刊行物

  • 看護学統合研究

    看護学統合研究 20 (2), 25-43, 2019-02-27

    広島文化学園大学看護学部

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