〈不和〉のテクスト : 太宰治『惜別』

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  • Dissensus in the Text : Dazai Osamu’s SEKIBETSU
  • 〈フワ〉 ノ テクスト : ダザイ オサム 『セキベツ』

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抄録

本稿は、太宰治が太平洋戦争末期に執筆した、若き日の魯迅をモチーフとした『伝記小説 惜別 医学徒の頃の魯迅』を、戦後の先行研究において偏重されてきたイデオロギー批評(とそれに連動した低い評価)を相対化し、歴史的な視座から読み直す試みである。 本格的な読解に先立ち、先行研究の批判的検討に続き、テクストの構造を分析的に整理し、『惜別』が内包する時間軸とその書法を明らかにした。その上で、歴史的な補助線として当時ブームとなっていた伝記小説(言説)を参照しながら、『惜別』のテーマ設定の特異性について考察した。さらに、小説内/外に関わる地方文化運動(言説)も参照し、『惜別』の歴史的な位置を検討した。以上の読解を総合するために、「アジア」という難問をめぐって〈不和〉(J・ランシエール)という概念を導入した上で、テクストに散見される〈不和〉の様相を読み解き、『惜別』に刻まれた歴史(の痕跡)を明らかにした。

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