BCS賞を用いた, 高いステータスの維持が日本企業に与える影響の研究

書誌事項

タイトル別名
  • BCSショウ オ モチイタ, タカイ ステータス ノ イジ ガ ニホン キギョウ ニ アタエル エイキョウ ノ ケンキュウ
  • BCSshō o mochiita, takai sutētasu no iji ga Nihon kigyō ni ataeru eikyō no kenkyū

抄録

type:text

ステータスに関する研究は近年,社会学から経営学のフィールドにまで及んでいる。既存研究より,高いステータスを持つことによって企業は好影響や悪影響を受けることが明らかとなった。しかし,既存研究は欧米の企業や組織を対象にした研究が多く,日本での研究事例が極端に少ないことから,国内研究は未だ発展途上である。現状の研究ステータスの高さがもたらす効果について指摘されている一方で,ステータスを保持している期間がもたらす影響について注目している論文は見つかっていない。そのため,本研究では日本企業を対象として高ステータスの保持期間に着目し,ステータスがアクターの経営パフォーマンスにもたらす影響についての分析を行う。 本研究では建築業界において歴史が長く,権威のあるBCS賞を用いて分析を行うことにし,受注による売上が大きな割合を占めていて過去の成果が重要視されているBCS賞の受賞数が多い上位15社のゼネコンを研究対象とした。そして,①売上高②社長の在任期間③M&Aの実施④支店や研究所の新たな設置⑤キャッシュフローの5つの指標を用い,分析を行った結果,高いステータスがもたらす経営のパフォーマンスの影響に優位性は見られなかった。一方でコントロール変数として重回帰分析を行った「企業の創業年数」,「従業員数」は企業の売上に強い影響を与えることが分かった。結果は,日本企業は高ステータスによる悪影響を受けにくく,ステータスの期間がもたらす経営パフォーマンスの影響の優位性が低いことが示され,仮説は棄却された。本研究では日本企業におけるステータスの影響の確認やステータスの期間という新しい視点に着手した取り組みであり,制度環境下を一定としたステータスの効力について再考する機会を提供できたと考える。また,ステータス研究が様々な条件下で行われることで,今後のステータス研究がより発展することを期待する。

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