ライナックX線の高エネルギー領域におけるフルエンス率の放射化検出器による推定

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  • Estimation of LINAC X-ray Fluence Rate in a High-Energy Region Using Activation Detectors

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県立広島大学で放射線治療に用いられている電子線直線加速器(ライナック)からの10MVX線のエネルギー分布を,X線を照射した亜鉛,銅ならびにインジウムに生じた放射能からのγ線を測定することにより推定した.γ線測定は大きなGe半導体検出器(160cm^3)を用いて測定した.X線照射は治療時の深さ5cmにおける吸収線量率が2Gy/minとなるように行った.測定の結果,照射金属中に^<63>Zn,^<62>Cuならびに^<115m>Inがそれぞれ生成されていることが分かった.治療台から20cm上のアイソセンターにおいて推定したX線フルエンス率はX線のエネルギー5-10MeVで(1.43±0.15)×10^<13>(m^<-2>s^<-1>),10-12MeVで(3.15±0.20)×10^<11>(m^<-2>s^<-1>)そして12-15MeVで(1.51±0.16)×10^<10>(m^<-2>s^<-1>)であった.推定値の誤差には使用した反応断面積の誤差によるものは含まれていない.また,フルエンス率は15MeV以上のX線フルエンス率が無視できると仮定して推定した.10MeV以上のエネルギーのX線の量は治療部位へのX線量にほとんど影響を与えない程度であった.しかし,それら高エネルギーのX線はライナックを構成する物質において多くの種類の光核反応を引き起こす.我々のこれまでの研究で照射室内における大きな熱中性子フルエンスが測定されている.10MeVを越えるエネルギーのX線はそれらを生成した光核反応の多くを引き起こしていると推察される.

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