ドイツ法における「第三の性」について(3・完) : 憲法上の評価と国際私法的考察

書誌事項

タイトル別名
  • Das „dritte“ Geschlecht im Deutschen Recht (Teil Ⅲ) : verfassungsrechtliche Bewertung und kollisionsrechtliche Betrachtung
  • ドイツホウ ニ オケル 「 ダイサン ノ セイ 」 ニ ツイテ(3 ・ カン)ケンポウ ジョウ ノ ヒョウカ ト コクサイ シホウテキ コウサツ

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抄録

前々号では,ドイツ連邦憲法裁判所の2017年10月10日決定(Vanja事件)を手掛かりとして,ドイツ法における「第三の性」の取扱いが批判的に検討された。前号では,同裁判所の違憲決定に基づく身分登録法の変更(第22条第3項の改正と第45b条の挿入)および変更点に対する評価が紹介され,これに続けて,「第三の性」に固有の名への変更を求める渉外事件の処理に当たり,男女二元主義を前提として発展してきた,国際裁判管轄権の決定および準拠法の決定に関する伝統的理解を維持することができるか否か,どのように改めるべきかという問題を最初に取り上げたゲスルの論文が分析された。今号では,アジア,ヨーロッパ,北米,オセアニア等において,「第三の性」を法的に承認する国が増えつつある現状に鑑みて,ロスバッハの研究を素材として,戸籍法(身分登録法),出入国管理及び難民認定法等における関連規定の合憲性判断という公法上の論点だけでなく,氏名法,婚姻法,親子関係法,扶養法などにおいても,実質法および牴触法の両面から,種々の論点を検討する必要性のあることが指摘され,併せて,牴触法的法律構成の可能性が提案された。本稿は,筆者が継続的に研究しているテーマ(憲法と国際私法との関係)についての補完的研究のひとつでもある。

収録刊行物

  • 比較法雑誌

    比較法雑誌 56 (4), 1-57, 2023-03-30

    日本比較法研究所

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