損害賠償種類論における時期的区分説の検証 : 早期代替取引費用の賠償対象性を素材として

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タイトル別名
  • Kritik an der „Zauberformel“ über Schadensarten
  • ソンガイ バイショウ シュルイロン ニ オケル ジキテキ クブンセツ ノ ケンショウ : ソウキ ダイタイ トリヒキ ヒヨウ ノ バイショウ タイショウセイ オ ソザイ ト シテ

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抄録

本稿は、四一五条二項の「履行に代わる損害賠償請求」を識別するための示唆をドイツにおける損害賠償種類の議論に求め、特に同議論における多数説と目される時期的区分説に着目する。  時期的区分説は、基準としての明晰性という利点を持っているが、同説内で時期的区分は必ずしも徹底されていない。その中でも、Faust 説・Lorenz 説は、同説の代表的見解であって、時期的区分を徹底しながら、ドイツ民法の履行優先原則については、損害賠償種類以外の解釈枠組で配慮することを、重要な個別テーマである早期代替取引費用の賠償対象性に即して、試みている。この試みにより、一方で時期的区分説の基準としての明晰性が保持され、他方で、履行優先原則が、損害賠償種類を用いずに無理なく尊重されるならば、同説は、他説にない明晰性がある分、優位に立つことになる。  このような認識に立ち、本稿は、時期的区分説に立った早期代替取引費用をめぐる解釈論を、Faust説・Lorenz 説を中心に跡づけて、関連のドイツ判例にも目を配りながら、損害賠償種類論としての時期的区分説の理論的・実質的妥当性を、批判的に検証する。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 127 (3-4), 265-320, 2021-02-19

    法学新報編集委員会

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