テンサイ一代雑種およびそれらの親系統の気孔コンダクタンスおよび群落表面温度の系統間差とその相互関係

書誌事項

タイトル別名
  • Differences of the stomatal conductance between F1s and their parents in sugar beet (Beta vulgaris ssp. vulgaris) and their relationships with the canopy surface temperature

抄録

テンサイの一代雑種(F1)3系統とその両親3系統(親系統)の計6系統を対象に,群落表面温度の時系列データを収集し,これら6系統の群落表面温度に生じる系統間差が,気孔コンダクタンスの違いに起因するものか,気孔コンダクタンス(gs)の測定結果をもとに検証した。気温(T a)および大気飽差(VPD)の最高値は13時台から14時台に出現し,群落表面温度(T c)が最高値を示す時間は3測定日(66,81および91DAT; Days after transplanting)においてもいずれの系統も概ね13時台であった。T cの最高値の出現に遅れ,T aおよびVPDは最高値を示し,日中,T cにそれぞれ系統間差が生じ始め,これらの傾向は臼井ら(2021)の報告と一致した。このT cの系統間差の要因を明らかにするために,気孔コンダクタンスを測定したところ,下記の傾向がみられた。(1)気孔コンダクタンスには系統間差が生じていた,(2)気孔コンダクタンスはF1で親系統より高い傾向があった,(3)「NK195BR×NK388」の値が最も高く,「NK235BR」および「NK388」は低い傾向があった,(4)F1内では「NK195BR×NK388」>「NK235BR×NK195BR」>「NK235BR×NK388」の順で高く,親系統では「NK195BR」が最も高かった。さらに10時台から12時台におけるT cからT aを引いた値である葉気温較差(ΔT)の3時間平均値との相関関係を調べたところ,両者の間には負の相関関係があることがわかった。すなわち気孔コンダクタンスが高くなるにつれて,葉の蒸散速度が大きくなり,群落表面温度は低下する。群落表面温度の系統間差が生じる要因の一つに,各系統の気孔コンダクタンスに起因すると考えられる蒸散速度の系統間差が寄与したものと推察された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ