ワクチン接種済み採卵鶏群で冬季に発生した皮膚型鶏痘

書誌事項

タイトル別名
  • Cutaneous form of fowl pox in winter in a layer flock vaccinated with fowl pox virus vaccine
  • ワクチン セッシュ ズミサイラン ケイグン デ トウキ ニ ハッセイ シタ ヒフガタ ケイトウ

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抄録

2019年1月,約3万羽を飼養する採卵養鶏場の367日齢の1群(4,500羽)で,元気消失と産卵率の低下が認められた。産卵率は62.0%まで低下し,産卵能力指標のレベルまで回復するのにおよそ60日を要した。外貌検査では,体表の無羽部に発痘がみられ,病理組織学的検査では発痘部皮膚に有棘細胞の腫大と増生,好酸性細胞質封入体(ボリンゲル小体)の形成が認められ,発痘部皮膚から鶏痘ウイルスが分離されたことから,皮膚型鶏痘と診断された。また,鶏舎内でワクモの捕獲調査を行ったところ,ワクモの生息が確認された。しかしながら,当該鶏群には鶏痘ワクチンが接種されており,一般的に冬季の皮膚型鶏痘の発生は少ないことから,発生状況を精査し,発生要因の分析を行ったところ,鶏痘ワクチンが21齢時に1回しか接種されておらず,適切な時期に鶏痘ワクチンの追加接種が行われなかったこと,管理失宜による一時的な給餌停止が免疫の低下を招き,発症の契機となったこと,冬季にも鶏舎に常在するワクモが鶏痘ウイルスを媒介し,被害が拡大したことが考えられた。

収録刊行物

  • 鶏病研究会報

    鶏病研究会報 57 (1), 31-35, 2021-05

    つくば : 鶏病研究会

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