大学生の英語の機械翻訳(MT)の使用に関する調査-MTとの向き合い方の分析-

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抄録

機械翻訳(Machine Translation; 以下、MT) は外国語でのコミュニケーションや外国語学習において非常に身近な存在となり、英語教育においては、MTの使用について様々な意見が交わされている。MTの使用には諸問題もあるが、上手に活用すれば、英語の学習リソースとしてだけでなく、学習ツールとなり得る可能性も考えられる。外国語教育において、MTを活用するには、まず学生がMTをどのように使用しているかを知る必要がある。そこで、本研究では、大学生を対象として、MTの使用状況(使用頻度、使用サイト、使用目的)、英語辞書(紙辞書・電子辞書等)の使用状況、MTの使用方法、MTの有用性の意識、MT使用上不便な点、及びそれへの対処方法等に関する調査を実施し、MTの学習ツールとしての有効性、MT依存の有無、主体的な学習支援の可能性等を考察した。その結果、以下の点が明らかになった。学生の約7割がMTを使用しており、MTはかなり浸透している。MT使用の主な目的は、大学での英語学習である。MTは、主に語句の意味の検索等、辞書的に使用している。辞書も併せて使用しており、MTは新たな学習リソース、学習ツールとなっている。学生は、MTを有用であると認識している。MT使用においては、様々な不便さや訳出の問題に直面しながらも、それを解決すべき方策を自分で考え出して対処している。よって、MT依存となり、学習の機会を損なうというよりも、MT活用のストラテジーを見出し、主体的で自律的に学習を進めていることが分かった。以上から、MTは自主的な学習を支援する学習ツールとして機能し得ることが示唆された。一方、MTの訳出が正しいかを自分で確認できない点に不安を感じており、この点で教師等の支援を求めていると思われた。MTの性能は日々向上している。以上は本調査の時点で得られた限られた範囲の実態である。今後、生成AI等が普及すれば、どう変化するか引き続き研究が必要である。

収録刊行物

  • 教養と教育

    教養と教育 23 9-1, 2023-10

    愛知教育大学 学部時間割編成専門委員会 共通教育科目研究交流誌編集部会

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