A Fresh Reading of Fumiko KANEKO’s Autobiography, What Made me Do it?

Bibliographic Information

Other Title
  • 金子文子を文学テキストとして再読するために : 手記『何がわたしをこうさせたか』について
  • カネコ フミコ オ ブンガク テキスト ト シテ サイドク スル タメニ : シュキ 『 ナニ ガ ワタシ オ コウ サセタ カ 』 ニ ツイテ

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Abstract

金子文子研究は,主に彼女の手記や裁判記録を通して,アナキズムや天皇制や教育学や女性史などの視点から,彼女の思想や行動について読み解くことを進めて来た。本論文は, これらの先行研究や先人のコメントに敬意を払いながら,金子文子の手記という文学テキストを精読するうえで必要なことを確認し,精読と分析の例を示す。それによって,文学テキストを社会的歴史的文化的なコンテクストを十分に理解しながら読み込むことが,それが提示する重層的な問題を考える上で重要なことを確認し,今後の研究の可能性について論じるものである。  まず初めに,金子文子とは何者かを考える。次に,金子文子の手記『何がわたしをこうさせたか』についてテキストの整備という点で検閲や編集の問題を考える。それから,手紙の異本と手記を比較,分析しながら,従来,予審判事に促されて執筆したと考えられている自伝の構想の時期について再検討する。そして,手記のうち 3 つの場面の精読と分析を行うことによって,金子文子のテキストの豊かさと可能性について考える。

Journal

  • 法学新報

    法学新報 128 (7-8), 93-122, 2022-02-28

    法学新報編集委員会

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