規制改革下の水産分野と独禁法 : シラスウナギ流通を素材に

書誌事項

タイトル別名
  • Antimonopoly Law and Fisheries Sector : A Study on Distribution Systems of Glass Eels at Kochi Prefecture, Japan
  • キセイ カイカク カ ノ スイサン ブンヤ ト ドッキンホウ : シラスウナギ リュウツウ オ ソザイ ニ

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説明

本稿の目的は,水産分野での独禁法の重要性の増大に着目し,漁業法等に基づく自治体の様々な水産物等の流通取引に関する規制ルールと,それによって構築された水産物等の流通構造に対する独禁法的考察の必要性を明らかにすることにある。「規制改革推進に関する答申~デジタル社会に向けた規制改革の『実現』」では,漁協による独禁法違反行為への対応が言及され,実際にも水産物等の適正取引推進に向けた取組みが行われている。また,水産流通では自治体が策定した諸ルールも深く関わっている。本稿の検討対象であるシラスウナギ(うなぎ稚魚)の流通に関して,たとえば,高知県は,その価格決定主体の特定のみならず,取引相手や取引地域を限定するような様々な諸条件を定めた規制ルールを有している。自治体の規制ルールの導入により,取引先や取引価格に関して閉鎖的とも言えるシラスウナギの流通構造が作り出され,その結果として,シラスウナギ流通に関わる者の間での適正な取引環境が阻害されている可能性もある。この点は,たとえ自治体による流通取引の規制ルールに従った(法的根拠のある)行為が行われていても,明確な独禁法の適用除外規定がないことから,閉鎖的なシラスウナギの流通取引において独禁法的考察は,その適正取引の確保のための1 つの視点を提示するという点からも重要と考えられる。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 128 (5-6), 199-230, 2021-12-10

    法学新報編集委員会

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