口すぼめ時の口唇三次元形態と多方位口唇閉鎖力との関係

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  • Relationship between three-dimensional morphology of the lips and lip-closing force.

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抄録

本研究の目的は、口唇の静的および動的な三次元形態と口唇閉鎖力との関連を検討することである。被験者は、顎顔面頭蓋の形成異常が認められず、顔の外傷および外科的手術の既往がない成人女性20名とした。それぞれの被験者について、多方位口唇閉鎖力測定装置を用いて口唇閉鎖力を測定した。8方向からの口唇閉鎖力はそれぞれ上、左上、左、左下、下、右下、右、右上口唇閉鎖力とし、左上、上および右上口唇閉鎖力の和を上口唇力、左下、下および右下口唇閉鎖力の和を下口唇力、8方向からの口唇閉鎖力の和を口唇総合力とした。顔面軟組織三次元画像データについては、非接触型三次元デジタルハンディカメラを用いて、安静時および口すぼめ時の顔面軟組織三次元画像を撮影し、2画像の重ね合わせを行った。鼻下点とオトガイ唇溝を通り正中矢状平面と垂直な平面を口唇基底平面と定義して、口唇基底面積を求めた。口唇基底平面より前方の上下口唇の表面積と体積を、口唇表面積、口唇体積とした。安静時と口すぼめ時の口唇表面積の差、安静時と口すぼめ時の口唇体積の差を、それぞれ口唇表面積変化量、口唇体積変化量とした。上口唇力、下口唇力、口唇総合力のそれぞれと、口唇基底面積、口唇表面積変化量および口唇体積変化量との間で、Pearsonの相関係数を求めた。口唇基底面積と口唇表面積変化量については、上口唇力、下口唇力および口唇総合力との間に、有意な相関は認められなかった。口唇体積変化量と上口唇力および下口唇力との間に有意な相関は認められなかったが、口唇総合力と口唇体積変化量との間に有意な正の相関が認められた。以上の結果から、口唇閉鎖力は、安静時から口すぼめ時に生じる三次元形態の変化と関連していることが示された。

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