北海道の中小企業がデザインするBCP策定プロセス : すべての社員の安全を守るBCPを策定するアプローチ

HANDLE オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • BCP Design Process : An approach that senior associates formulated for new employees

抄録

北海道江別市は、石狩川流域に位置するため地勢的歴史的に洪水の被害も受けてきた他、複数の地震が起きると予想されている。台風最盛期の豪雨による洪水、暴風、土砂災害等の災害に遭うリスクもある。こうした災害リスクに対して、地域産業を支える中小企業( Small and Medium-sized Enterprises : SMEs)は、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)を備えて、緊急時の対応力を強化し、災害後に素早く復旧するための方法論を備えなければならない。 北海道大学公共政策大学院防災政策研究ユニットは株式会社北翔(Hokusyo)と、道内のSMEsのBCP策定過程をデザインし、災害を契機に経営基盤を強化する経営戦略を立案することに取り組んでいる。 Hokusyoは、北海道江別市に所在する、自動車部品販売、自動車整備事業、リサイクル・リビルト事業を中核事業とする従業員約30名のSMEsである。Hokusyoは、2021年にBCP策定チームを結成し、中小企業庁BCP策定運用指針を採用して、BCPの策定に着手した。本研究では、BCP策定過程で直面する構造的課題を克服してBCPを策定した北翔を事例研究し、「SMEsがBCPを装備し、災害を契機に経営基盤を強化するアプローチ」を構想する。 当社のBCP策定過程の特徴とISO危機管理指針31000:2018フレームワークを対照し結果、HokusyoのBCP策定プロセスには、ISO 31000の理念と方法論の6つの要件に定義されている取り組みが包含されていた。よって、今後BCPの更新時にISO31000の要素を、更に柔軟に組み込んでゆくことによって、災害を契機として、「復旧プロセス」から「中核事業の価値創造プロセス」にシフトする経営戦略を描くことは可能である。 本事例研究は、BCPの更新と運用過程の工夫次第で、独自のBCP策定プロセスは描きうるSMEsの可能性を示唆する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050298588047358848
  • HANDLE
    2115/90981
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    conference paper
  • データソース種別
    • IRDB

問題の指摘

ページトップへ