国家試験の出題実績に基づいた,薬学部における初年次生物学教育の授業計画設計

書誌事項

タイトル別名
  • Designing Course Plans for First-Year Biology Education in the Faculty of Pharmacy, Based on National Examination Performance Records

抄録

近年の薬学部では,入学する学生の学力の多様化が問題視されている大学が増えている.本学においてもこの問題は重要視されており,より多くの学生を長期的な視点で一定のレベルに到達させるための教育の工夫が必要とされている.本学薬学部でも,その一環として,学生に早い段階から学習の方向性を明確に示し,必要な知識とスキルを身に付けさせるために,初年次から国家試験を意識した教育が推奨されている.そこで,著者らが担当する初年次生物学教育科目においても,国家試験を意識した教育を行う目的で,実際に出題された薬剤師国家試験(第81回から第107回)の生物範囲について文書解析を行った.その結果,国家試験の各回に使用されている専門用語の種類や単語数,頻出単語などのデータが得られた.これらの情報を,著者らが担当している生物学と基礎生理学に導入するために,各科目で教科書として指定しているテキストの索引と薬剤師国家試験に使用されている全ての専門用語との比較を行い,重複している単語を講義における必修単語として設定した.また,必修単語のリストをもとに授業計画を設定する目的で,テキストの目次項目に即して関連する必修単語を割り振り,項目毎にそれらの単語を使用したコンセプトマップを作成した.コンセプトマップには,複雑な情報を視覚的に整理し共有することができ,整理した情報の相互チェックがしやすいなどの特性がある.各講義の担当教員が各々に作成したコンセプトマップを相互に確認し,重複する内容をどちらか一方の科目で講義するのか,あるいは互いの講義であえて繰り返し講義するのかなどの科目間での連携をはかった.本稿では最終的に,北海道医療大学薬学部の初年次教育に設定されている生物学と基礎生理学について,薬剤師国家試験の出題実績に基づいたデータを元に,コンセプトマップというツールを利用しつつ,科目間の連携を行い,令和6 年度からの新カリキュラムに対応した授業計画を作成した.

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