幼児期の「わからない」反応の縦断的変化 : 「推測の自覚化」メカニズムの検証

書誌事項

タイトル別名
  • Longitudinal Changes of "I Don't Know" Response in Preschool Children : Verification of the "Aware of Guessing" Mechanism

抄録

本研究の目的は,Kondo(2022)で報告された「年齢が上がるにつれてクローズド形式の答えられない質問へのわからない(Don’t Know,DK)反応は少なくなる」という「わからない」反応の減少現象に着目し,(1)縦断的手法を用いても同様の現象が見られるのか,(2)減少現象の背景に「推測の自覚化」,さらには「表象関係を表象する」メカニズムがあるのか,を検討することであった。幼稚園の年長クラスに在籍する子ども33名(うち,Kondo(2022)で年少クラスであった子どもは22名)を対象に,クローズド形式の質問(例,犬の人形が赤と青のコップのどちらに隠れているか)とオープン形式の質問(例,動物の名前を尋ねる)を行った。また,子どもの回答に対して「なぜわかったのか」「なぜわからなかったのか」という理由質問や「本当に○○?」という確認質問を行った。その結果,(1)年少から年長にかけてクローズド形式の答えられない質問に対するDK反応は減少する一方,オープン形式の答えられない質問に対するDK反応は増加する傾向にあること,(2)ただし統計的にはクローズド答えられない質問へのDK反応の減少現象は確認されなかったこと,(3)クローズド答えられない質問にDK反応を行わなかった理由として「推測」や「法則」に言及する回答が一定数見られること,(4)確認質問に対して「推測」や「変更」の反応をする子どももわずかながら存在したものの十分な回答数ではなかったこと,(5)クローズド答えられる質問で「見ること‐知ること」関係に言及する子どもは,クローズド答えられない質問で「推測」や「法則」にも言及する傾向にあること,が示された。

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