1950年代前半における日本の音楽界と矢代秋雄

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  • Japanese music in the early 1950s and Akio Yashiro

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抄録

1950年代前半における日本は、戦後の混乱が落ち着き、国全体が活気に満ちあふれていた。クラシック音楽界においても、新たに欧米から入ってきた「前衛音楽」の影響を受ける作曲家や、民族主義とも言える日本的な要素を作品に取り入れる作曲家、あるいは両面を持ち合わせた作曲家など様々であったが、新進気鋭の作曲家達が世界を見据えた作品を発表し、活性化させていった。その頃、日本を代表する作曲家である矢代秋雄(1929-1976)は、伝統的な書法を学ぶためにパリへ留学し、研究に没頭した生活を送っていた。その時期に書いた唯一の作品である《弦楽四重奏曲》(1955)は世界的に注目を集め、矢代の本格的デビュー作となった。本稿では、主に1950年代前半の日本の音楽界の動向を俯瞰した上で、矢代がパリ留学によって強められ、培われた音楽観を考察する。

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