自由刑改革における受刑者の行方

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タイトル別名
  • “Who cares about Prisoners?” : On Reformation of Imprisonment in 2022
  • ジユウケイ カイカク ニ オケル ジュケイシャ ノ ユクエ

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抄録

2022年6月,新たな自由刑である「拘禁刑」を創設することを盛り込んだ「刑法等の一部を改正する法律」が成立した。従来規定されていた「作業」に加え,刑事収容施設法を根拠として行われてきた「指導」が刑法に明記されることで,個々の受刑者の特性に応じて作業と指導を柔軟に組み合わせる,矯正処遇の「個別化」がより一層推進されることが期待されている。なお,法制審議会に設けられた部会では,矯正処遇を受刑者に義務づける際の正当化根拠が大きな争点となり,活発な議論が交わされた。  矯正処遇の「個別化」への期待とその義務づけは,いずれも受刑者の改善更生/社会復帰,要するに「再犯防止」への関心に由来する。ところで,改善更生/社会復帰の主体は他でもない受刑者自身であるから,再犯防止の観点から生じる論点を検討する際には,その前提として,受刑者に対する理解を深めなければならないはずである。  本稿は,以上の関心のもと,矯正統計年報をもとに受刑者の実像に迫ったうえで,行刑の「社会化」を基礎理解としながら,自由刑改革の主要な論点に検討を加えるものである。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 129 (6-7), 691-725, 2023-03-08

    法学新報編集委員会

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