アメリカ合衆国における DNA データベースを利用した犯罪捜査

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タイトル別名
  • Using DNA Databases as a Tool of Criminal Investigation in the United States
  • アメリカ ガッシュウコク ニ オケル DNA データベース オ リヨウ シタ ハンザイ ソウサ

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抄録

アメリカ合衆国では現在,連邦や州といった公的機関のみならず民間企業が構築して提供しているDNAデータベースも被疑者を特定する際に犯罪捜査の一手法として利用され始めている。民間企業が構築しているDNAデータベースとは,犯罪捜査のためだけに提供されているものではなく,本来は消費者が自身のルーツや親戚を探すため,もしくは疾患リスクを知るためのサービスのために運用が開始されたものである。しかし従来型の捜査や公的機関のDNAデータベースを使っても被疑者を特定できなかった場合,捜査機関は民間企業のDNAデータベースを使用してDNA型が一部一致した被疑者の親戚や遠戚のリストをもとに家系図を作り被疑者を絞り込んで逮捕に至った事案もある。こうした捜査手法は,民間企業の有するDNAに関する情報が捜査の鍵となるため,法的性格を検討するにあたり,合衆国憲法第 4 修正上の法理であるプライヴァシーの合理的期待のテストと第三者法理の適用の可否が重要な問題となる。本稿では,各DNAデータベースを紹介した上で,DNAデータベースを利用した犯罪捜査の法的性格を考察する。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 129 (6-7), 169-194, 2023-03-08

    法学新報編集委員会

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