『後拾遺和歌集』雑四:家集歌群小考

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タイトル別名
  • 『 ゴシュウイ ワカシュウ 』 ザツ ヨン カシュウカ グンショウコウ
  • “Goshui Wakashu”: A Brief Study on the Poem Groups in the Anthology of Waka

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抄録

『後拾遺和歌集』巻第十八雑四には、故人の家集をめぐる六首からなる歌群が存在する。この「家集歌群」の前半は紀貫之の家集にまつわる河原院歌人たちの詠作が並ぶ。後半は、重代歌人一族として著名な大中臣家の歌が並び、後三条院越前なる女房歌人の一首で締めくくられている。伊勢大輔や能宣など、錚々たる顔ぶれの大中臣歌人たちをおさえて、越前の歌が歌群の掉尾に配されたのはなぜだったか。越前は『後拾遺集』の撰者通俊と同じく、「母系祖母」の代で大中臣一族に辛うじて接続する血筋を持っていた。通俊は、勅撰集撰者としては実績を欠くという同時代の評価に対抗すべく、重代歌人一族の代名詞であり、『後撰集』の撰者能宣を擁する大中臣一族の血筋の誇示を試みたと考えられる。そのうえで、前接する貫之家集歌群は、歌聖貫之の家系といえども、僅か二代しか有力歌人を輩出し得なかったのに比して、自家大中臣一族は六代に亙って連綿と歌人の系譜を繋いできたことを明瞭に示す狙いがあったと論じた。

勅撰和歌集

後拾遺和歌集

藤原通俊

家集

文学社会学

identifier:BO010800011693

収録刊行物

  • 文学部論集

    文学部論集 108 69-84, 2024-03-01

    佛教大学文学部

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