[論文] 考古学データとDNA分析からみた弥生人の成立と展開
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- [Article] Origin and Development of Yayoi People from the Viewpoint of Archaeological Data and DNA Analysis
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抄録
本稿は,弥生時代の人骨と,韓半島新石器時代,三国時代の人骨のDNA分析結果が,弥生時代人の成立と展開に関して与える影響について考古学的に考察したものである。 筆者らは,2018年度以来,新学術領域研究,通称「ヤポネシアゲノム」によって,上記の人骨を対象に炭素14年代測定,食性分析,DNA分析を行ってきた。 その結果,日本では,前8世紀の支石墓に葬られた在来系の人びと,前6世紀の伊勢湾沿岸で水田稲作を始めた渡来系の人びと,紀元前後の西北九州弥生人のDNAを,韓半島では約6,300年前の前期新石器時代と5~7世紀の三国時代の人びとのDNAを得ることができた。これらのDNAが弥生時代研究に与える5つの問題について考えた。 ① 縄文人や韓半島の新石器時代人は,後期旧石器時代の古代東アジア沿岸集団に特有なDNAをもっている。しかし6300年ほど前の韓半島の新石器時代人の中には,すでに渡来系弥生人と類似するDNAをもっている人びとがいたことを確認した。 ② 渡来系弥生人は,縄文人と韓半島南部の人びととの混血によって生まれたと考えてきた。しかし,韓半島南部の新石器時代人の子孫と縄文人が交わっても,弥生前期末以降の渡来系弥生人が成立しない場合もあることが明らかとなった。 ③ 前6世紀の伊勢湾沿岸地域に,渡来系弥生人のDNAをもつ水田稲作民を確認した。現状でもっとも古い例である。この調査結果は,前6世紀の伊勢湾沿岸地域以西の西日本にはすでに渡来系弥生人が広範囲に存在していたことを予想させる。西日本の渡来系弥生人の出自を検討した。 ④ 弥生前期には遠賀川系や突帯文土器系など系譜を異にする甕形土器があるが,使用者のDNAが異なっていた可能性が出てきた。土器の系譜とDNAとの関連について考える。 ⑤ 西北九州弥生人のなかに,縄文人と渡来系弥生人が混血した人と混血していない人の二者がいること,九州中部や南部にも混血した人が存在することがわかった。混血して生まれた西北九州弥生人は,いつごろ,どのような地域で誕生したのか考える。
収録刊行物
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- 国立歴史民俗博物館研究報告
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国立歴史民俗博物館研究報告 237 17-69, 2022-11-30
国立歴史民俗博物館
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050299673794694016
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- NII書誌ID
- AN00377607
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- ISSN
- 02867400
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB