なぜ保護者はわが子以外に関心を向けうるのか-アレントの「共通感覚」論を手がかりに公教育を問い直す-

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  • How Can Parents Care for Other Children Besides Their Own? -Reconsidering Public Education Based on Arendt’s Theory of “Common Sense”-

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抄録

公教育としての学校教育の成立が、保護者との関係においても困難になっている。困難の諸要因は容易に転換できるものではなかろうが、保護者の意識に、筆者が「共通関心」と呼ぶものが形成されうるという事実には、公教育の展望をひらく可能性がある。筆者のこれまでの研究により、教室の子どもたちや出来事へと向けられるその「共通関心」が、教師の作成・発行する学級通信を読んできた保護者において形成される経緯や条件が明らかになっているが、本稿はそれをふまえ、さらなる課題の追求を試みるものである。すなわち、保護者における「共通関心」形成までの経過は、何によっていかに媒介されているのかを探るという課題である。課題追求にあたって本稿が採用するのは、ハンナ・アレントの「共通感覚」論を参照するという方法である。アレントの「仕事」、「芸術作品」、「判断」、「活動」、そして「共通感覚」などといった諸概念とその連関をもとに、保護者の意識変容の相へアプローチし、保護者はなぜわが子以外の子どもへも関心を向けうるのかを探る。

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