推論主義と承認欲求をめぐる往復書簡

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  • A Discursive Practice on Inferentialism and Desire for Recognition: Letters Exchanged between a Hegelian and an Inferentialist:

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抄録

本稿は、ロバート・B・ブランダムによって展開されてきた推論主義の哲学的な可能性を考えるための往復書簡である。白川晋太郎は、ブランダムの推論主義において重要な役割を果たす相互承認論が、「ジグザグ型の無限後退」に至るのではないかという懸念を表明し、また、「承認欲求」概念を用いることでブランダムとは異なる言説的実践の説明の可能性を提示している。  本稿ではまず川瀬がこの議論にブランダムの側から反論を試みる。そこで論点となるのは、第一に、承認主体としての承認は推移性を持つというブランダムの指摘の重要性を捉え損ねているということである。第二に、承認欲求はそれ自身規範的態度であり、言説的実践の外側からの説明にはならないのではないか、ということである。  続いて、白川がそれに再反論する。そこでは頑強な承認とは異なる通常の承認からの議論の展開可能性と、理由の空間の内外を行き来することが求められるような、個々具体的な理由の空間について論じる際の承認欲求の重要性が指摘される。

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