ことばの説明実践 : 留学生チューティーと日本人大学生チューターの学習活動を中心に
書誌事項
- タイトル別名
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- Word explanations : Examining tutorial activities between international students and Japanese language tutors
- コトバ ノ セツメイ ジッセン リュウガクセイ チューティー ト ニホンジン ダイガクセイ チューター ノ ガクシュウ カツドウ ヲ チュウシン ニ
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説明
本稿では、会話分析と言語社会化の観点から留学生チューティーと日本人学生チューターの学習活動における日本語の単語や慣用表現などに関する「ことばの説明実践」に着目し、分析・考察を行なった。9 組のチューティーとチューターの学習活動の実態を収録した約21 時間の音声データ(うち約14 時間のデータは映像付き)に基づいて、ことばの説明実践の事例数、連鎖の開始と終結の傾向及び連鎖上の特徴及び言語的・非言語的リソースの使用を分析した。会話分析の結果、説明実践に埋め込まれた連鎖は、(1)開始部、(2)実行部、(3)終結部に分割され、それぞれの部分において以下の特徴が見られた。(1)実践の開始部は、チューティーによる自身の「認識的ステータス」の呈示及びチューターによるチューティーの認識的ステータスの確認が行われてから開始する傾向がある。(2)実践の実行部においては、チューターによる定義、他言語へのコード切り替え、情報の引用、ことばの使い方を呈示する演技などの行動が見られる。(3)実践の終結部では、チューティーによる「うん」、「分かりました」など「説明の受け入れのトークン」のような理解の主張が多く観察されるが、「説明の言い換え+確認要求」のような理解の立証が観察される事例は比較的少ない。言語社会化(Schieffelin and Ochs,1986)の観点から見ると、チューター活動において、チューティーが日常会話に使う単語のみならず、作文や発表に使えるアカデミックな単語や表現を学ぶなど、ことばの説明実践は「言語を使うための社会化」に必要である。また、ことばの説明実践は留学生が大学という「アカデミック・ディスコース・コミュニティー」(Duff,2010)の言語社会化の過程において不可欠であることが明らかになっている。
収録刊行物
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- 阪大日本語研究
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阪大日本語研究 33 61-91, 2021-02
大阪大学大学院文学研究科日本語学講座
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050299693924302592
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- NII論文ID
- 120007029213
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- NII書誌ID
- AN10106606
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- HANDLE
- 11094/81238
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- NDL書誌ID
- 031416070
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- ISSN
- 09162135
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
- NDLサーチ
- CiNii Articles