内受容感覚と共感・心の理解の関係に関する理論的検討 : 自己の身体内部の感覚はどのように寄与しているのか?

書誌事項

タイトル別名
  • Theoretical examination of the relationship between interoception and empathy and understanding minds: How does the sense of selfʼs internal body contribute to empathic response and understanding minds for others?

この論文をさがす

抄録

本論文は,自己の身体内部の感覚である内受容感覚が他者への共感や他者の心の理解といった 社会性にどの程度またどのように関わっているのかについて,理論や研究知見に基づいて論考した。ま ず,内受容感覚が一人称視点といった主観的意識や自己存在感といった自己覚知に寄与し,自他分化に 導く可能性を指摘した。しかし一方で,近年,内受容感覚の覚知の精度が高いと模倣・情動伝染・情動 的共感の反応も良いことを示唆する研究知見が見受けられ,内受容感覚の覚知の働きを考慮することで, 自己覚知を把持しながら他者に適切に共感することを説明できる可能性を検討した。その検討結果に基 づいて,内受容感覚の予測や予測誤差を組み込んだミラーニューロンシステムの予測符号化モデルを構 築した。また,説得力のある理論や研究知見は乏しいが,他者の心の理解にも内受容感覚の予測が影響 する可能性を考慮して,メンタライジングシステムを上位とする,他者の心の理解の予測符号化モデル を構築し,予測と予測誤差に基づいた他者の心の理解のメカニズムの説明を試みた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ