教職課程履修大学生が想起する「総合的な学習の時間」−中学時代の学習経験から教職課程における指導法を考える−

抄録

本稿では体育系K 大学3 年生を対象として,中学時代の「総合的な学習の時間」(以下.「総合」)の学習経験に関する質問紙調査を実施し,学生の持つ「総合」の経験やイメージを明らかにする.特に学生が「総合」をどのような教科等や教育活動と混同しているのかを明らかにする.そして,「指導法」における「総合」の扱い方の一つを提示する.  まず,自由記述の回答からは,「総合」として学生が覚えている事項には限界があることが指摘できる.特に「総合」を修学旅行についての事前学習や調べ学習と混同しており,特別活動との違いを認識できていない事例が目立った.この点を学校における教育課程の編成の実態という視点から考察した.その結果,「総合」と「特別活動」が教育課程上も重なりを持ちつつ運用されていること,そして,生徒の学習経験という側面に加えて,教職課程で教育課程の編成を学ぶ際にこうした実態を伝達する必要がある.  次に,計量的な分析からは,「総合」に対する記憶と評価の関係について検討した.すなわち,「総合」が「好きだった」が内容は「覚えていない」学生というのは,「総合」について,授業の内容に関しては「覚えていない」が,「活動」や「体験」としては記憶している可能性があることを指摘した.  最後に,本稿の知見から「教職課程コアカリキュラム」における科目間連携の必要性について議論した.

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