網膜芽細胞腫およびぶどう膜悪性黒色腫に対する各種画像診断法の比較検討

この論文をさがす

抄録

眼内悪性腫瘍の代表的疾患である網膜芽細胞腫とぶどう膜悪性黒色腫について,超音波検査,CT-scan,MRIを用いた画像診断の臨床的有用性について比較検討した.網膜芽細胞腫の超音波検査は小さな腫瘍と網膜剥離および硝子体播種の描出に有用で,石灰化部分は高い内部反射を呈した.CT-scanでは小さな腫瘍の描出は困難であったが,石灰化および視神経浸潤の描出に有用であった.MRIのT1強調画像では腫瘍はhigh intensity,T2強調画像ではlow intensityを呈し,石灰化部分はlow intensity,壊死部分はhigh intensityを呈した.腫瘍の分化度を各種の画像検査から推察することはできなかった.ぶどう膜悪性黒色腫は超音波検査のAスキャンで特徴的な所見が得られ,病理組織学的に均一な構造をとるため内部反射は低くなったが,壊死の多い症例では内部反射は不規則で比較的高かった.CT-scanでは腫瘍は均一にhigh densityを呈し,強膜浸潤の描出に有用であった.MRIのT1強調画像では腫瘍は均一にhigh intensity,T2強調画像ではlow intensityを呈し,メラニン色素が多いほど著明なlow intensityを呈した.網膜剥離や硝子体播種の描出には超音波検査およびMRIが優れていた.眼内悪性腫瘍の診断は,超音波検査,CT-scan,MRIを併用することにより容易となり,予後を推察する上で有用である.

本文データはCiNiiから複製したものである。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ