メルロ= ポンティの古典心理学概念批判

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  • メルロ ポンティ ノ コテン シンリガク ガイネン ヒハン

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抄録

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『知覚の現象学』おいて、メルロ= ポンティがまず着手するのは、知覚に関する基礎的な心理学概念への批判である。「古典的先入観と現象への復帰」と題された序論では、〈感覚〉〈連合〉〈記憶の投射〉〈注意〉〈判断〉といった古典心理学の概念に対する詳細な批判が展開されている。そのなかでも、とりわけ重要な概念は、〈感覚〉(sensation)である。というのも、〈連合〉〈記憶の投射〉〈判断〉など、知覚を十全に分析するために導入される他の古典心理学的概念は、〈感覚〉に基づいてその役割が決定されているからである。メルロ= ポンティによれば、理論的な説明の基礎として「この概念を認めたせいで、古典的な分析は知覚という現象を取り逃した」(PhP, 9)。したがって、感覚概念への批判こそが、メルロ= ポンティ自身の知覚理論を展開する出発点となる。以上の点を踏まえて、本論は次の二つを目標とする。第一に、古典的心理学の感覚概念に対するメルロ= ポンティの批判を分析し、その議論の核となる問題を特定すること、第二に、感覚概念に基づいた他の古典心理学的な概念がどのような動機のもとに批判されるのかを特定することである。

研究論文

収録刊行物

  • 人文

    人文 (22), 55-72, 2024-03

    学習院大学人文科学研究所

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