書誌事項
- タイトル別名
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- A Scandal of YAMASIROYA-WASUKE in the Early Meiji Period(3) : Focusing around Punishment of Army & Navy Related Personnel
- 山城屋和助事件(3・完)陸海軍関係者の処分をめぐって
- ヤマシロヤ ワ ジョ ジケン(3 ・ カン)リク カイグン カンケイシャ ノ ショブン オ メグッテ
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説明
山城屋和助事件は,尾去沢銅山事件とともに,世人から疑惑視された明治初年の疑獄事件である。山城屋和助は長州閥が主流の陸軍から莫大な官金の融資を受け,それを資本に多大な利益をあげた維新政府の御用商人であった。借入金総額は約64万8000円に達したといわれている。 ところが,生糸相場の下落で山城屋和助は多大な損失を出し,それを挽回するために欧米へ出かけたが,パリでの豪遊ぶりが評判となり,国内でも,山城屋和助への放漫な融資に対する疑惑が次第に高まっていった。 しかし,山城屋和助は返済不能の状況に陥り,帰国後,一切の借入関係書類を焼却し,1872年12月29日(明治5年11月29日),陸軍省の一室で自裁してしまった。そのため山城屋和助が陸軍省ヘ納入するはずであった軍需物資も納入不足となり,結果的に多額の官金損失を生むことになる。 それでは,この不始末の責任を負わされ,処分を受けた者が誰かいるのであろうか。本稿は,この山城屋和助事件に関連して,処分された陸海軍関係者がいるとすれば,それは誰であり,どのような処分を受けたのかについて,その実相を明らかにしようというものである。
収録刊行物
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- 法学新報
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法学新報 130 (5-6), 61-104, 2023-11-29
法学新報編集委員会