乳癌縮小手術(乳房温存術,胸筋温存乳房切除術)を受けた患者の術後回復過程に関する研究(2) : 患者の術式選択時の情報提供のための術式別回復過程の比較

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書誌事項

タイトル別名
  • Recovery of patients after minimally invasive surgery for breast cancer (breast-conserving surgery or pectoral muscle-conserving mastectomy) : report 2 : comparison of recovery after each operative procedure to collect data for informed choice of operative procedure by the patient
  • 乳癌縮小手術患者の術式選択時の情報提供のための回復過程の比較

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説明

乳癌患者が術式選択を行う場合の情報提供の資料とすることを目的に,乳房温存術(温存術)・胸筋温存乳房切除術(切除術)を受け,術後回復状態を3カ月間縦断的に観察しえたケース39例において,温存術群(21例)と切除術群(18例)の2群にわけ,その2群間の比較を肩関節可動域・握力・創部ドレーン抜去日・胸部の疼痛と日常生活動作で行った.その結果,肩関節可動域は,切除術群・温存術群ともに,前方挙上,後方挙上・側方挙上のすべてにおいて統計的に有意差を認めなかった.しかし,術後1週目には温存術・切除術ともに肩関節可動域は一番低下し,その後3カ月をかけ徐々に回復する経過をたどった.一方,握力は,切除術群の2週目に有意に低下し,切除術は上肢筋力に関して手術侵襲の影響がみられた.術式別の創部ドレーン抜去日および日常生活動作においては,有意差はなかった.術後4週目の創部の動作時の疼痛が,切除術群に比べ温存術群においては「ある」と回答したものが多く,放射線療法による影響が考えられた.乳癌術前患者の術式選択に際しては,単に生存率のみの情報だけでなく,2つの術式には術後の肩関節可動域の制限の程度には差がないこと,温存術に比べ侵襲の比較的大きい切除術では術後2週目に握力の低下を認めること,放射線療法をおこなう温存術では創部の動作時の疼痛の認める例があることなどの,術式により回復のプロセスの違いがある点も情報提示し,対象者のライフスタイルに合わせた術式選択が可能となるよう支援していくことが重要であると考える.

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