トルクを付加した際の歯および歯根膜における応力分布の有限要素解析

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タイトル別名
  • トルク オ フカ シタ サイ ノ ハ オヨビ シコンマク ニ オケル オウリョク ブンプ ノ ユウゲン ヨウソ カイセキ
  • Finite element analysis for the stress distribution in the root and periodontal ligament during torque tooth movement
  • 歯根をトルク移動する際に生じる応力

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説明

舌側に転位した側切歯を歯体移動させるには,歯冠を唇側に傾斜移動した後,舌側にある歯根を唇側移動させる必要がある。その際,歯根およびその周囲組織にはトルク力が生じており,このトルクコントロールを適切に行うことが歯科矯正臨床上きわめて重要である。本研究では,舌側転位した右側上顎側切歯の歯根を唇側移動する際に側切歯および両隣在歯に生じる応力について有限要素解析を行った。上顎右側中切歯から犬歯の歯列モデルは頭蓋骨モデル(ニッシン)のCT 画像を,0.018”×0.025”スロットブラケットおよび0.018”×0.025”ステンレススチールワイヤーについては3 次元CAD データをもとに,3 次元有限要素モデルを構築した。荷重条件として,ワイヤーの側切歯部分に6°のリンガルクラウントルクを負荷した。その結果,側切歯に生じるvon Mises 相当応力の大きさは約11.0×10−3 MPa であり,唇側歯頸部および根尖部に集中していた。一方,両隣在歯には,最大で約4.5×10−3 MPa のvon Mises 相当応力が根尖部および舌側歯頸部に認められた。本研究結果より,舌側転位した上顎側切歯の歯根を唇側移動する際にはリンガルクラウントルク負荷によって当該歯ならびに隣在歯に生じる作用・反作用を考慮し,歯の移動を行う必要が示唆された。

収録刊行物

  • 日大歯学

    日大歯学 95 (1), 29-35, 2021-06

    日本大学歯学会

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