ドイツ法学における法実証主義の用法について(1)

書誌事項

タイトル別名
  • Zum Gebrauch des Rechtspositivismus in der deutschen rechtswissenschaft(1)
  • ドイツ ホウガク ニ オケル ホウ ジッショウ シュギ ノ ヨウホウ ニ ツイテ(1)

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説明

本稿は19世紀後半以降のドイツ法(哲)学者の議論を理解するために,法実証主義という用語のできるだけ精確な,すなわち,法実証主義に属するとされる個々の論者の思想に,より精確に接近可能な分類を提示することを目的とするものである。法実証主義という用語は,論者により,イメージされている対象が大きく異なる。このことが十分に意識されないと,時には,自己矛盾をはらむような形でこの言葉が用いられることがあり,法実証主義としてカテゴライズされる論者のテクストを読む際に誤読が誘発されることがある。このことを避けるためには,少なくとも法概念論上の法実証主義者と法解釈方法論上の法実証主義が厳格に区別される必要がある。両者は全く別カテゴリーの議論であり,その思想的基盤も目的も全く異なる議論であり,混同は許されない。法実証主義という言葉が用いられる際は,それがどのような意図で用いられているのかを確認とすること,また,このような用語を用いる際は,どのような意図で用いているのかを明確にすることが,議論の明確化という観点からは望ましいだろう。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 131 (5-6), 1-33, 2024-12-04

    法学新報編集委員会

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