子牛の神経疾患における脳脊髄液生化学性状の診断的意義の検討

この論文をさがす

説明

牛の脳脊髄液(Cerebrospinal Fluid:CSF)生化学性状の基準値確立と臨床的意義の検討を目的として、各種神経疾患および非神経疾患子牛由来CSFの生化学的性状を解析した。神経疾患子牛18症例のASTとLDHおよび総蛋白質濃度(Total Protein:TP)は、他の非神経疾患子牛57症例および健常子牛9頭のCSF性状と比較して有意に高値を示した。非神経疾患子牛と健常子牛のCSF生化学性状には有意差はなく、これら66頭のCSF生化学性状をもとに基準値を設定した。神経疾患子牛のうち代謝性、外傷性および炎症性疾患の症例では、CSF中のAST、LDH、CKおよびTPが基準値より高値を示すものが散見された。一方、先天性および変性性疾患の症例では基準値から大きく乖離する測定値を示すものはいなかった。子牛の神経疾患症例ではCSF中のAST、LDH、CKとTPが上昇することがあり、中枢神経の傷害程度の目安として利用できる可能性があると思われた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ