収益費用観・資産負債観と貸倒損失 (2)

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タイトル別名
  • シュウエキ ヒヨウカン・シサン フサイカン ト カシダオレ ソンシツ (2)
  • Shueki hiyokan shisan fusaikan to kashidaore sonshitsu (2)

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抄録

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前号では,貸倒れの計上にかかわる取得原価主義会計論の理論的欠陥の問題を検討したので,本号では,貸倒れを割引現在価値に基づいて計上することの根拠にかかわる収益費用観と資産負債観という二項対立の理論的妥当性の問題を取り上げよう。すなわち,貸倒れ損失を割引現在価値に従って計上することによって,投資業績を反映した妥当な処理になるのであるが,問題は,割引現在価値で評価することの理論的根拠である。今日,会計の変革は,一般に,収益費用観から資産負債観への推移という文脈で語られることが多く,貸倒れ損失の割引現在価値による計上もまた,その一齣とみなされているようである。ここに,収益費用観と資産負債観とは,フローとストックとの規定被規定関係を意味しているが,結論的には,収益費用観と資産負債観という枠組は,評価の基本的規定要因ではないし,またその両者は,either-orとして対峙する関係にはない,というのが筆者の理解である。したがって,割引現在価値に基づく貸倒れ損失の計上の根拠が,改めで問われなければならないが,資本貸与活動という利潤産出活動を認知することによって,是認され得る,というのが本稿の結論である。

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