社会概念の形而上学的基礎 : ショーペンハウアー哲学の援用

書誌事項

タイトル別名
  • シャカイ ガイネン ノ ケイジジョウガクテキ キソ : ショーペンハウアー テツガク ノ エンヨウ
  • Shakai gainen no keijijogakuteki kiso : Shopenhaua tetsugaku no enyo
  • The application of Schopenhauer's metaphysics to society

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抄録

type:text

およそ社会という概念ほど,理論的にも実践的にも多用されながら,明確な概念規定を施されないままになっているものはない。我々が社会としか呼びようのない,ある種の共同的な生活秩序の中で生きているのは紛れもない事実であるから,ごく一般的には,それらの様々な纏まりを社会と受け止めていくのは許される。だが,ひとたびその社会なるものの我々への影響を専門的に究明しようとすると,それでは無定義過ぎて焦点がはっきりしなくなる。ところが今日の社会学(ごく一般的に言ってこれが社会研究の中心になってきたし,今もなっている)では,社会は諸社会として,相対化された形で扱われているままである。これでは「社会とは何か」という本質的な問いに迫ることはできない。確かに,経験科学はこのような本質的な問いに直接的に答えようとするものではない。しかし,これへ答えようとするところに,経験科学の切り口が現れるのではないだろうか。そこで本稿では,社会の概念を哲学者ショーペンハウアーの世界観にまで遡って吟味し,複雑さと混迷を深める現代社会の切り口の精緻化に努める。

商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty 50周年記念論文

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 50 (6), 45-69, 2008-02

    慶應義塾大学出版会

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