東京電力福島第一原子力発電所(福島第一原発)の事故によって大気中に放出された放射性核種の多くは、東方へ輸送され海表面に沈着した。また、原子炉の冷却のために放水作業が行われたが、それらの一部は破損した施設から漏洩し、海洋へ流出した。事故から約2年が経過し、国や自治体等による海域モニタリングや、多くの研究機関による海洋調査の結果、事故起因の放射性物質の拡散状況が少しずつ浮き彫りになってきた。本稿では、特に海水及び海底堆積物中の事故由来の放射性核種について、分布の概況と今後の課題について解説する。
著者所属: 日本原子力研究開発機構(JAEA)
水環境学会誌 36 (3), 95-98, 2013-03
日本水環境学会