特殊河口空間の部分空間について

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  • On a Subspace in a Special Kawaguchi Space
  • トクシュ カコウ クウカン ノ ブブン クウカン ニ ツイテ

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抄録

J.L. SyngeやH.V. Craigによってはじめてその名称がつけられた"河口空間"は, n次元空間の中の曲線x^i=x^i(t)の弧長がs=⎰F(x^i, x^<(1)i>, …, x^<(M)i>)dt(ここにx^<(a)i>=d^ax^i/dt^a; i=1,…, n, a=1,…, M)で与えられるという点で, Finsler spaceを拡張した空間であり, 変分学の問題の幾何学的探究にも起因しているのであるが, その基本的な理論は相模工業大学教授理学博士河口商次先生によって打ち建てられ, その後多くの数学者がこれを研究している。上の関数Fが特にF=(Σ^^n__<i=1>A_ix^<(M)i>+B)^<1/p>(ここにA_i, Bは(x^i, x^<(1)i>, …, x^<(M-1)i>)の関数;pは正の有理数)のとき, この空間をM次の特殊河口空間という。著者は特に2次のn次元特殊河口空間(これをK_nと記す)を取り上げ, その中のm次元部分空間(これをK_mと記す) : x^i=x^i(u^α) (α=1,…, m)の理論を展開する。§1ではこの空間を導入し, projection factors p^i_αを定義し, 以下の§の概略を紹介する。§2ではK_nの基本的なテンソルG_<ij>を導入し, これとp^i_αから別な因子p^α_iを定義し, それらに関する性質を挙げる。§3では部分空間への法線ベクトルを導入する。§4ではK_nの中の接続を与え, それによって共変微分および誘導共変微分を定義し, 誘導接続係数のexplicitな表現を与える。§5では別な微分であるD-微分を導入し, いろいろな種類のテンソルのD-微分の表現を与える。特にprojection factors, 法線ベクトルのD-微分について考える。§6では古典微分幾何学に現われるガウス・コダッチの方程式に相当するものを, われわれの幾何学において導びく。§7では部分空間に存在する二つの接続係数, すなわち誘導接続係数とK_mにある本来の固有接続係数との間の関係を引き出す。§8では誘導接続に関するK_mの自平行曲線と, 固有接続に関するそれとが一致することを見て, K_mの中の曲線がK_nの自平行曲線なら, K_mのそれであることを示す。また極値曲線についても同様なことを示す。なお, この研究に際して, 河口先生の御指導と, 日本大学理学博士菊地重隆教授, 東京理科大学理学博士渡辺昭二教授の御助言を得たことを文頭に述べ, 感謝の意を表わしたいと思う。

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