日本の名付け習慣における変遷の全国的分布

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抄録

近年においては、名付け習慣が大きく変化しており、名前特有の接尾辞や従来の構造的特徴が少なくなってきている。一方、読みを工夫した漢字用法を用いた名前は増えている。名付けのこういった変化は問題視されており、メディアで幅広く取り上げられている。だが、全国的に見られる傾向なのかは未確認である。本研究では、12か所の市町村の広報誌をデータとして用い、近年の名付け習慣における変化を確認した。漢字の用法により抽出された1,573個の名前は「不透明群」と「透明群」に分類された。分析の結果、読み方が不透明で読みにくいと推測される名前が全名前の50%以上を占めており、全国的に頻繁に見られることが確認できた。また、市町村による差ほとんど見られず、読みにくい名前の分 布には地域差が認められなかった。地域差が見られなかった理由として、人間関係における変化の他に、名付けの際に活用できる情報における変化が挙げられる。ことにインターネットを通したランキング情報の普及により、人々が名付けにおける流行に対して敏感になっており、名付けの際に他者との比較の中で名前を選択することが一般化しているであろう。

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