南インドの景観考(3)―現代インドにおけるヒンドゥー寺院とコーラム画―

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タイトル別名
  • ミナミインド ノ ケイカンコウ(3)ゲンダイ インド ニ オケル ヒンドゥー ジイン ト コーラムガ

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本研究は,「近代化と宗教」の問題意識を持ち,近年急速に経済発展がすすむインドにおいて,インドの社会を特徴づける宗教(ヒンドゥー教)がどのように存在しているかを,とくに宗教施設に着目して現状把握を試みたものである.本稿の内容は,最初にヒンドゥー教について一定の理解を得るため概略の展望を行った.次に南インドの任意の地域を対象として,人々の宗教行為の場であるヒンドゥー寺院の実情と民家の玄関先などに描かれるコーラム画の様子について現地観察の内容を記述した.ここでは,ヒンドゥー寺院の役割が単なる信仰の場としてではなく,人々の世界観を涵養する教育装置のように機能していること,近年の経済発展のもとで従来からのヒンドゥー寺院に加え,新しい寺院の増改築が見られること,および民家のレベルにおいて人々の精神生活の表現であるコーラム画を描く風習が新しい意味もちつつ維持されていること等を紹介した,最後に,従来の欧米流の近代化論のなかで指摘されてきた,経済発展と宗教との関係の見方と今日のインドの状況との相違点について,日本の近代化以後の課題との関連をふまえ比較考察を行った.

収録刊行物

  • 経済学季報

    経済学季報 67 (4), 117-155, 2018-03-30

    立正大学経済学会

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