中国の「陽宅相法」と未来住宅のデザイン構想

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  • チュウゴクテキ ヨウタク ソウホウ ワ ミライ ジュウタク セッケイ コウ ソウ

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抄録

「陽宅」は古文での陰宅(墓地)の反対語、生きている人間が住む普通の住宅。「相」は占うこと。「陽宅相法」は中国古代の住宅建築における土地の選び方、建物の配置の仕方、および建造の時期を確定する方法と理論である。本文では関係する文献を総合し、影響が比較的大きな何種類かの「陽宅相法」の主な方法と理論およびその流派の伝承について、まず簡潔な説明を加えた。実際面で中国の住宅環境デザインに深刻な影響を与えた「陽宅相法」は風水術の重要な構成要素として、一面では大量のシャーマニズムによる迷信的タブーを抱えこんでいるが、同時に数多くの経験に基づく科学的理知の表現である古代の「準科学」を含んでおり、全人類の生活を支える住宅理論の一部をなしているものである。生態建築学(Acologies)は建築生態学(Arcology)ともいうが、それは自然界における生物とその環境の共生関係を対象とする生態学(Ecology)の思想と方法を基礎とした建築計画デザインの理論と方法の上に構築されたものである。あるいは言葉を換えるなら、現代地球上のあらゆる生命活動がバランスを保ちつつ発展し続けてゆけるすじ道を探究する生態学が、建築科学の領域までに拡大した一つの分岐であり、そこには近代建築思潮の向うべき価値観が反映されているということができよう。住宅建築の領域には都市計画が含まれており、我々は伝統的な古代の風水理論の観点から研究を継続するだけでなく、人類学、社会学、行動心理学および生態学等の多面的な角度から、一層深く広汎な理論的および応用的な研究を進めており、更に社会科学や自然科学の大きな発展、具体的には、情報理論、制御理論、システム理論から環境工学、生態工学などが、住宅理念や思想の重大な転換を著しく促進してきた。未来の中国は時と共に全体的思想体系を重視し、人間と自然の生態系の有機的な調和を重んじてゆくことになろう。また中国風水理論における古代の哲学的理念、美学、心理、地質、地理、生態、景観および住宅環境デザインの全体的な組み合わせ等における豊かな内容を、中国の未来の住宅デザインの理念の中により良く生かし、新しい世紀の人類の生存の質と量を高め、文化と科学を向上させるために、新たな活力を注入してゆくこととなるであろう。

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KJ00000731129

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