生殖器官の生産量からみたシイ林の有性生殖(林学部門)

書誌事項

タイトル別名
  • 生殖器官の生産量からみたシイ林の有性生殖
  • セイショク キカン ノ セイサンリョウ カラ ミタ シイ リン ノ ユウセイ
  • Sexual reproduction in a Castanopsis cuspidata stand in relation to annual yield of reproductive organs (Forestry)

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抄録

松尾大社(京都市嵐山)の境内のシイ成熟林において, リタートラップ法で1986年~1989年の生殖器官の生産量(林分当たり)を測り, また花粉生産量は開花前の雄花序当たり花粉量を基に推定した。これらの諸量を検討し, 有性生殖についてえた主な結果は次の通りである。花粉生産量は重量(218~359kg (ha)^<-1> (yr)^<-1>)では最大クラス, 粒数(64.2~103×(10)^<12>(ha)^<-1> (yr)^<-1>)では突出して多く, しかも年次変動が小さかった。この莫大な花粉数は, しかし, 胚珠数に見合ったものであった(花粉/胚珠の数比, 4.1~8.3×(10)^5)。花粉粒は小形であるから(1.94~4.30×(10)^<-6>mg), 同化産物の花粉への流れは節約されている。開花年ごとの乾物量は1609~1803kg (ha)^<-1>で, 雄性と雌性の部分量は逆比例の関係にあった。年度ごとの乾物生産量は1237~2204kg (ha)^<-1> (yr)^<-1>の範囲で, これは種子の並作~凶作の年の値である。この生産量の多少と各部分の割合との間には, 一定の傾向はなかった。これは種子成熟に2カ年を要することに関係がある。また, 当年生と1年生の部分の生産量は等しくなる年が多かった。結実率は低いが(5.5%~10.6%), ほかの種と大略等しい。年々の種子数は結実率と並行して推移し, 総雌花数も種子生産に関係があるようだ。種子対投資の重量比は種子の並作年に3倍, 凶作年6倍で, これはほかの重力散布種子の種の値と一致した。

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