うたごえ運動とは何か : ミーム学の視点から考える

書誌事項

タイトル別名
  • Deconstructing the “Utagoe” Movement : A Memetic Perspective
  • ウタゴエ ウンドウ トワ ナニ カ : ミームガク ノ シテン カラ カンガエル

この論文をさがす

説明

1950 年代,全国各地で若者の合唱サークルが組織された.1940 年代末に起こったこの運動はうたごえ運動と呼ばれた.うたごえ運動は文化運動,労働運動,反核平和運動と連携し,1950年代半ばに最盛期を迎えた.しかし,早くも1960 年代前半には人気を失った.この運動はどのようにして同時代の若者の心をとらえたのか.またなぜ若者の心はうたごえ運動から離れていったのか.この論文は進化論の観点から文化を理解するミーム学の知見を用いてこの疑問に答える. ミームとは模倣であり,遺伝子に似た「文化の自己複製子」として理解される.うたごえ運動とは「正しく,美しく歌え」などの指示のミーム,「歌の力によって大衆を組織し,世を動かす」という物語のミーム,ミームとしての歌からなるミーム複合体である.うたごえ運動が拡大し,一転して衰えた過程はこれらのミームが複製された(されなくなった)過程として説明できる.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ