「売上高・売上原価対立法」を巡って : 安平説,木村説,田中理論の検討を通して

書誌事項

タイトル別名
  • 「 ウリアゲダカ ・ ウリアゲ ゲンカ タイリツホウ 」 オ メグッテ : アンヘイセツ,キムラセツ,タナカ リロン ノ ケントウ オ トオシテ
  • ウリアゲダカ ウリアゲゲンカ タイリツホウ オ メグッテ : ヤスヒラ セツ キムラ セツ タナカ リロン ノ ケントウ オ トオシテ
  • On the Cost of Goods Sold Method for the Treatment of the Merchandise Accounts : In the Middle of Pursuing S. Yasuhira's, W. Kimura's, and S. Tanaka's Theories

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説明

本稿は,「売上高・売上原価対立法」(以下,「売上原価法」)のルーツを探訪する途上で出合った,印象深い先学の見解・学説の一端を纏めたものである。安平昭二によれば,その処理法は,商品の仕入を交換取引として,商品の販売の際に,一方で売上高という収益が,他方で“消費は費用" と捉えて売上原価という費用が,同時に発生する取引として,処理する。木村和三郎は,昭和初期,「取引はすべて等価交換取引で,運動の経過とともに費用収益に転化する,と徹底した動的見解を展開した」が,その過程で,“観察可能な" 日常取引と決算取引(損益構成への参加)とを峻別すべきことを強調した。田中茂次は,「売上原価法」を「深層構造がそのまま表層構造に現れた」処理法であると説くとともに,生産過程における“原価の流れ"(実体内取引)と流通過程における実体間取引とが「同型性を持つ」と明言する。その処理法は,深層(生産過程)と表層(流通過程)とを“連結する"。Garcke=Fells が製品売上ごとに示した仕訳記入の考え方と「売上原価法」とは“通底する",とみなし得る。かくして,「売上原価法」は工業会計の発展と動態論思考の影響の下で誕生した,と推察される。

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