『夜明け前』試論

書誌事項

タイトル別名
  • 『 ヨアケマエ 』 シロン
  • A Study on Shimazaki Tohson’s Yoakemae

この論文をさがす

抄録

type:text

序の章 父子の対照的な責務意識 中央の位置 服部之総への疑問 平田派国学運動の展開

本論では、序の章の山林事件を読み解くことで、青山半蔵父子の意識の違いを明らかにし、それを通して、主人公が父を凌駕する村総代への責務意識に献身する人間へ変貌していくことを明らかにした。馬籠宿が東山道の「中央」に当たる地勢上の位置は、激動する歴史を目撃させる恰好の舞台となっていると同時に、主人公が平田派の活動の二大拠点であった伊那・東濃の集団を取り持つ役割の両義性があることも明らかである。平田派の復古の活動を作品の基軸に据えた『夜明け前』の史実解釈については、服部之総の厳しい評価がある。しかし、『夜明け前』において、平田派全盛時代を明治三年であると強調する史的価値づけは、私心のない平田鉄胤に結集していく群像の活動に、平田派国学運動の精華があったとする筋道の通った説明が行われていることを意味している。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ