混種語から見た各時代の造語の諸相

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タイトル別名
  • コンシュ ゴ カラ ミタ カク ジタイ ノ ゾウゴ ノ ショソウ
  • A Study on Japanese-Chinese/Chinese-Japanese Word during Nara through Edo Period

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説明

一語の中に和語・漢語・外来語のうちの二つ以上の語種の異なる形態素を含むものを混種語と言うが,混種語は和語や漢語に比して時代の変化が激し 1) い。そこで奈良時代から江戸時代までの幾つかの資料にあたってその混種語を調べてみたところ次のようなことがわかった。1.混種語は各時代の社会の状況をかなり顕著に反映する。2.意味の上では限られた分野であった混種語が室町時代前期ごろから広がりを見せ始め,室町時代後期には生活の種々の面にまで及び,和語のみでの表現が不可能な状況が見てとれる。3.初めは独立性の高い語同士の結び付きであった混種語であるが,室町時代前期から接辞的な漢語形態素が現れ初め,室町時代後期には造語力の豊 かな漢語形態素が多くなり,同時に「不~」のような漢語的語構成をなす混種語も出てくる。4.和語形態素についていえぽ,初めは名詞が多かったが室町時代前期ごろから動詞連用形の名詞化したものがふえ始め,室町時代後期以後非常に多 くなる。動作・行為を表すことぽとしては和語形態素の受持つ役割が依然と して大きいことを物語る。  5.上の2~4からわかるように室町時代前期ごろに語彙史上の転換点があるように見うけられる。

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