外来2型糖尿病患者における2年間の食事摂取状況の実態把握

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タイトル別名
  • Dietary intake in Japanese outpatients with type 2 diabetes: 2-year follow up study
  • ガイライ 2ガタ トウニョウビョウ カンジャ ニ オケル 2ネンカン ノ ショクジ セッシュ ジョウキョウ ノ ジッタイ ハアク

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抄録

【目的】食事療法は2型糖尿病患者の自己管理に必須であるが、その経年的な実践状況についての検討は不足している。そこで本研究では、2型糖尿病患者における2年間の食事摂取状況の実態把握を行った。【方法】外来に通院する2型糖尿病患者60名 (平均年齢:66.8歳, 男性比率:65.0%) について、食物摂取頻度調査法を用い2014年とその2年後に把握した食品群・栄養素摂取状況を経年的に比較した。【結果】対象者の調査開始時の平均値は、罹病期間:10.2 ± 6.6 年,HbA1c:7.4 ± 1.1 %,BMI(Body Mass Index):23.6 ± 4.4 kg/m2 であった。2年後は、BMI や血糖、血中脂質に有意差はみられず、収縮期血圧のみ調査開始時より高値であった(137.3 ± 13.6 vs. 132.8 ± 14.7 mmHg, p=0.031)。食事摂取状況は、2年間でエネルギー摂取量に有意差はみられなかったが、脂質エネルギー比が増加し(25.8 ± 5.3 vs. 27.3 ± 6.2 %, p= 0.030)、食物繊維摂取量が低下した(13.8 ± 4.6 vs.12.5 ± 3.6 g, p= 0.030)。食品群別では、野菜総量は摂取量が低下し(280 ± 132 vs. 229 ± 114 g, p=0.004)、肉類摂取量が増加した(45 ± 31 vs. 57 ± 48 g, p= 0.029)。調査開始時のHbA1c 値とBMI による層別解析では、HbA1c<7%群で食物繊維と野菜類の総量摂取量が2年後に低値となり(p=0.048, 0.001)、HbA1c≧7%群で脂質摂取量が高値であるが( p= 0.042)、脂質エネルギー比でみると有意差は認められなかった。BMI 25kg/m2 未満群では、脂質エネルギー比が2年間で増加し(p= 0.043)、食物繊維と野菜類の総量摂取量が低下し(p= 0.003, 0.003)、乳類の摂取量が増加した(p= 0.022)。BMI 25kg/m2 以上群は、エネルギーや三大栄養素摂取に有意差は認められず、食品群別で、緑黄色野菜のみ2 年後の摂取量が低値となった(p= 0.008)。【結論】外来2型糖尿病患者の2年間の食事摂取状況の変化が明らかとなった。糖尿病療養状況を考慮した、各患者の食事摂取状況の経時的な把握を行う必要性が示唆された。

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